Paranoia Diary

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少女前線 ゲームレビュー

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 スマホゲーム「少女前線」が一向に日本上陸しないので、台湾版を遊んでみた。

 

少女前線とは?

 ミリタリー系の擬人化ゲーム(艦これ、アズールレーン、鋼鉄少女、戦艦少女R、ミリ姫など)の系統に入る今作は、ずばり銃の擬人化、正確に言えば「銃火器とそれを使うアンドロイド“戦術人形”」である。もっと簡潔に言うと銃火器を持った女の子を操作して戦って集めるゲームだ。
 2016年5月から中国にてサービス開始となり、次いで17年1月に台湾版、6月に韓国版がリリースされ、どちらの国でも好評を博している。更に2018年1月には英語版がスタートし、欧米での展開も開始。日本版の今年の春にはテストサーバーがリリース、日本上陸を予定している。尤も、去年の時点で日本上陸は予定していたようだが開発の夜逃げによる運営分裂や商標問題から日本上陸は長らく「未定」状態が続いていたそうで……

世界観とキャラクター、最高

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 舞台は半世紀ほど未来、アウトブレイクによって人類の生活圏は大幅に縮小し、人々が安住の地を巡って第三次世界大戦が発生。第三次大戦で勢力を拡大した軍事企業、鉄血は戦後、テクノロジーの粋を集めて新兵器「戦術人形」を開発する。しかし鉄血の戦術人形は暴走を始め、人類に反旗を翻し、勢力圏を広げていった。残された人類の希望は鉄血に対抗可能な戦術人形を有する民間軍事企業、すなわちPMCであった。プレイヤーはPMCグリフォンの新人指揮官として、鉄血を相手に配下の戦術人形たちと共に戦いを挑んでいく…… という筋立て。

 明確に物語が用意され、謎を呼ぶ物語や様々なキャラクターたちが登場し、サイバーパンクものや近未来SFモノが好きな人にはまずたまらない設定が用意されている。UIのデザインも優秀で、世界観に合致したスタイリッシュなもので見ていて楽しいし、何よりも劇中のBGMの質の高さは今まで触れてきたソシャゲの中でもかなり高水準な部類だ。

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 キャラクターのクオリティも非常に高い。中国ゲーのプレイヤーにとってはお馴染みのイラストレーターが多数参加している上に、個々のキャラクターの絵のクオリティ、それに合わせて収録されている日本語声優のラインナップも豪華で、まさに至れり尽くせりな内容だろう。特に銃火器に対して愛着があり萌ミリにも抵抗ない人々にはたまらない銃火器のラインナップで、メジャーやマイナーまで網羅しようという気概がある。

シンプルだが奥深く

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 ゲームの基礎そのものは「キャラクターを育成する」「キャラクターを編成する」「MAP上のマスを制圧していく」「敵と戦い、マスを制圧して勝利する」というオーソドックスで素朴なものだが、これが中々練られている。
 MAPの編成や敵の配置などが凝っており、それに加えて「○ターン以内に敵を×個撃破して勝利」「全マスを制圧する」と言った条件をクリアする事でS勝利と自律作戦(詳細は後述)が可能になる。また、部隊をスポーンさせるマスを制圧し、自軍の戦力の増強、さらに1ターンごとの行動回数を増加させる事でより戦略の幅を増やす事が出来る。もちろん敵も同じく行動を開始し、プレイヤーの裏をつくような行動へ出たり、同じく増援をスポーンさせて来たりと行動を妨害してくる。

 また、それぞれのキャラクターは大まかな種類(拳銃、短機関銃、突撃銃など)に分類され、それぞれ違った特性やスキルを持つ。それぞれ最大5キャラで1分隊の編成が可能であるが、それぞれ陣形を組んだ際に「どこのキャラの」「どのスキルが」「どう働くか」が違うため、適当に「あ、このキャラ強そう」「このキャラ☆多いからとりあえず突っ込もう」と編成すると逆に性能を生かしきれい場合すらある。そのため、頭を使ってそれぞれの戦術・戦略にあった編成を考える必要がある。

 こうした頭を使う要素の重なりが、シンプルなゲーム性をより魅力的に引き立てているし、それでいながら「とにかく情報を詰め込みまくってwikiもすべて精査し、試行回数と長時間の研究でようやく勝利をつかめる」と言った煩雑さは(少なくとも今俺がプレイしている2-5までは)薄く、シンプルさと奥深さを両立したゲームデザインをしている。

便利な機能と低課金性

 また、ゲームを補助する便利な機能も多い。たとえば出撃させれば時間経過で経験値と戦術人形のドロップを引っさげてくれる「自律作戦」(全マスの制覇、S勝利で金勲章を貰うと自律作戦を出せるようになる)、出撃させれば資源やアイテムを持ってきてくれる後勤支援といった要素もある。また、これらの自動出撃に関しては帰還時に同じ面子でまた出撃させるかメッセージが表示され、ボタン一つで再出撃出来るので、レベル上げや資材集めはしやすい。
 また、課金で手に入るゲーム内通貨も、わずかではあるがゲーム内の任務達成やログインボーナスで入手できるため、課金しなくても課金要素に触れる事が出来るというメリットもある。機能開放などの永続性のある課金要素も多いため、割と低課金ゲーの部類に入る方だろう。(もっとも向こうの方では破産覚悟でつぎ込んでいる人もいるらしいが……)

序盤まで触れてみて思った短所

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 さて、色々と面白い所や良い所を語ったが悪い点を述べようと思う。まだ序盤すぎるので何とも言えないが、コレクションをするゲームという都合上、どうしても出る・出ないキャラの差が出てくるのはどのゲームでも一緒だと思うが、今ゲームに関しては本当にドロップが渋すぎる。肝心の製造における戦術人形のドロップはかなりの偏りがあるし、出撃でのドロップも大体同じような面子ばかりが山ほどドロップする……という場面が多い。特に初期の出撃ドロップはほぼ☆2の戦術人形しか手に入らず、殆どが製造頼みとなってしまう。とにかく出ない、その一言に尽きる。しかも、キャラクターの強化にはやたらめったら手に入り辛いアイテム「核心」または、同じキャラクター+1~3人が必要なため、慢性的な☆3以上のドロップ不足に陥り、性能が低かったりスキルがピーキーな☆2キャラ中心で主力を編成せざるを得ない場面にも陥りかねない。

 またデイリークエストでの人形製造契約と快速製造契約(艦これや戦艦少女でいう設計図と高速建造材に相当)の入手量が少なく、まとまった数を手に入れるには後勤支援を必死に回すか、ひたすら忍耐強く温存するか、または課金するかのどれかしか無い。まあ、あくまで序盤なのでこれから進めていけば変わるかもしれないが……

 また、優良な来歴のゲームというわけでもない。本国版では開発チーム側と運営側のトラブルがあり、本来ならば2016年に予定されていた日本上陸が一度お流れになっている上に商標関係のトラブルで未だ上陸していないという案件もあるし、開発側に対する愚痴のあれこれも古参ユーザーの間では、やはり発生していたりする。そのへんはソシャゲという性質上、仕方ないだろうと思う。絶対に避けては通れない道だ。

 そして一番の問題はローカライズ。日本版は未だに上陸していないゲームなので、人に勧めようにも大陸版(または海外版)を.apkで落として遊ぶか、エミュレーターで遊ぶしか方法がない上にプレイまでのハードルはそりなりにあるのが残念な所か。おまけに日本語も無いので殆どが翻訳サイト頼みとなってしまうのも難点。ただし、中国語で出ている分、文脈でゲームの操作内容もわかるし、メインストーリーは翻訳サイトがあり、ボイスも日本語なのでゲームプレイ自体は問題ないだろう。課金はややこしいが。

総合的には満足出来るゲーム

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 とは言え「ゲーム性は非常に良い」「ゲームとして便利な機能もいっぱい」「低課金or無課金でも楽しい」「顔の良い女がクッソ出てくるゲーム」「ストーリーも盛りだくさん」「マニアックな銃火器もいっぱい」で、オススメしたいポイントは沢山あるし、事実楽しいゲームである。アズレンも戦艦少女もやったし、あと何か良いゲームが無いか……という中国の擬人化ゲー好き諸氏や、萌えミリ好き諸氏には自信を持ってオススメできるゲームだろう。

 てか早く日本版出せよ羽中。