Paranoia Diary

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ライバル校が好きなら間違いなく買う理由 -ガールズ&パンツァー ライバル校アンソロジー書評-

 人気ジャンルはアンソロジーコミックも多い、大抵、そのスマッシュヒットや大ヒットを飛ばしたジャンルならシリーズ化タイトルも多く出回るし、公式からアンソロジーが出る事だってよくある。しかしガルパンの場合は、公式アンソロジーが3冊、他アンソロジーが1シリーズ5冊(16年2月現在)という割と控え目な数字である。

 アンソロジーコミックは当たり外れの差が激しい。まあこんなものか、と思う程度の代物から買った事を悔やむもの、読んだ後に良かった探しをしたくなるものまで、ピンからキリまである。元々ガルパンは土壌が豊かでないのでこうした存在は出来はどうあれ常に歓迎であるが、特筆すべき存在はライバル校アンソロジーだろう。ガルパンのアンソロジーで最も良いものであり、ライバル校が好きなら間違いなく買うべきに値する。

  本編に出てきた学校と言えば複数存在する。そのどれもが特色豊かな学校であり、良きライバルであり、本編を一丸となった盛り上げた存在なのだが、全12話+OVA1本という尺においてはライバルたちはやはりサブキャラクターとしての域を出ず、どうしても出番は薄くなりがちであった。魅力的でありながら、どの媒体でも手が届かない……という事が多かった中、このアンソロジーは「ライバル校を主役に据える」という大胆なコンセプトで責めてきた。これを歓迎しない手はない。

 概ね、シリーズは劇中で対戦した順序で発売されている。第一弾は聖グロリアーナ、第二弾はサンダース、第三弾はアンツィオ、第四弾はプラウダ、第五弾は黒森峰だ。ありがたい事につい最近になって劇場版登場学校+大学選抜チーム編の製作が決定したため、今後も増える見込みだ。既刊5冊でボリュームがあるというのが地味に嬉しい所か。全体的に執筆陣もばらつきが少なく、安定感はある。

 全体的な感想になるが、まさに痒い所に手が届く理想系であり「あの学校のあのキャラクター……もっと見たかったなあ……」という思いをしなくて済む安心できるアンソロジーになっている。大体1冊ごとに「シリアス系」「ほのぼの系」「ギャグ系」とそれぞれの毛色の漫画がバランスよく纏まっているのでこれもまた安定感がある。設定等も深く決められてないが故の冒険した設定に出る事や、原作で絡まなかったキャラをあえて絡ませる、と言った物もある。

 ライバル校アンソロジーであるため、その題材の学校は頻繁に登場するが原作の大洗チームや、更に他校の生徒もカメオ的に出演したり、或いはその側から描く話が多かったりと、実はライバル校ながら全体の登場キャラ・学校は多岐に渡る。なのでシリーズ全てを見れば大体どの学校のキャラも満遍なく楽しめるという出来になっているので、特定の巻だけ買ってもいいし、全部揃えてもいいという利点はある。

 ただ一概に優れているアンソロジーという訳ではなく、アンソロジーでは致命的な「詰めの甘いキャラ・設定考証」「二次創作で作られたキャラ像」「これはないなと思う作品」も無くは無い。が、それほど際立って目立つ物ではないし、少数の作品にガッカリさせられる事はあったとしても、個々の巻の満足感は維持出来ている。後は本編の印象的なモブはどの巻・どの学校でもモブの域を出ない使われ方をしているのもちょっと不満か。直下さんをもっと出せ

 またAmazonのレビューにも書かれているが、ガルパンながら戦車の露出はかなり控え目というか戦車すら出てこない物も多い為、パンツァー成分の期待は出来ないのも難点だ。だが恐らくシリーズを全部買ってる人はそのへんは全く気にしていないだろう。俺だってしてないし。

 ガルパンのコミックであと何を買えばいいか……と探している諸氏なら買っておいても損はないシリーズだろうし、ライバル校のあの娘が見たい!という目的なら恐らく期待は裏切らないだろう。