Paranoia Diary

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「蒼青のミラージュ」レビュー

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 戦艦少女Rの開発・運営会社最新作「蒼青のミラージュ」がサービス開始したのでレビュー。いちおう海域3-2ノーマルまでクリアした時点でのレビュー。

 

 

「蒼青のミラージュ」とは?

 まず初めに説明しておくと戦艦少女Rのスピンオフゲームである。戦艦少女自体は「中国で艦これが遊べないので自分たちで作ろう」という発想から生まれたリスペクトゲーで、2016年に日本へ上陸した経緯がある。今作は開発元である幻萌の日本支社が大きく関わっているゲームであり、珍しく日本でのサービス開始が世界最速という日本市場を意識した(と思われる)作品となっている。スピンオフのゲームではあるが、世界観や設定などは一から練り直しているためキャラ以外殆ど別作品と言っても過言ではない。ジャンルはシミュレーションRPGであり、戦闘部分にはキャラクターの操作など戦術的な操作も要求される。
 艦船擬人化ゲームである以上、アズールレーン艦隊これくしょんの言及や比較は避けられないゲームではあるが、前者2つと比較するとゲームの雰囲気はかなり近未来寄りである。
 プレイヤーは民間軍事企業(PMC)ネオフォースの提督であり、物語は新任の駆逐艦・夏霧の視点から始まっていく。深海軍と呼ばれる謎の勢力の台頭と、それに対応する民間軍事企業、その裏ではアメリカとロシアという二大国家の緊張が高まっている……という設定に始まり、それぞれの思惑で衝突するキャラクターたちの描写や不穏な言及、謎など、全体的にシリアスなトーンのストーリーになっている。敵艦のパンツやカップヌードル強奪していた牧歌的な戦艦少女Rとは対極に位置する。
 実装艦(キャラクター)の特色としては戦後艦やペーパープラン艦がふんだんに織り込まれている点があり、ミッドウェイ級コーラルシー(言及だけだがルーズベルトも)、エセックス級レプライザル(言及のみ、未完成艦)、ファーゴ級巡洋艦ファーゴ、O級巡洋戦艦クラウゼヴィッツ(計画艦)、伊吹・鞍馬(未完成艦、史実では空母転用される予定だった巡洋艦)、仁淀(大淀型巡洋艦の未完成艦)など、列挙するとキリがない程登場するほか、これらの艦は元ゲームである戦艦少女にも登場していない完全新規実装キャラとなっている。戦艦少女Rから登場するキャラもパラレル要素が強く、性格やキャラクターが大きく変わっている艦もいれば、ブルーゴーストの艦名が「レキシントン」から「カボット」へ変更されている等、大きな差異もある。

よりダイナミックに、自分から関わる戦闘

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 戦闘システムは対応するマスに部隊を配置させ、次々と現れる敵を倒していくというもので、攻撃は基本的に自動(射程内に入れば勝手に撃ってくれる)、スキル発動による攻撃なども可能になっている。完全に戦闘を一任できるオート、スキルのみ自力で発動させるセミ、すべてプレイヤーが操作できるマニュアルと選択・切り替えが可能になっている。
 一見すると複雑なシステムに見えるが、それぞれ艦種ごとに役割や得意・不得意な相手が設定されており、それを考えて操作すれば大体の戦闘はスムーズに進められる。これが面白く、自分で状況をコントロールし、勝利を狙っていく所が完全オートで戦闘の成り行きを見るだけだった戦艦少女との違いである。
 どのタイミングでスキルを発動するか、どの艦をどこへ向かわせるか、どの敵にどの艦をぶつけるか、と言った戦術的な判断をプレイヤーに求めるため、手ごたえのある戦闘を楽しむ事が出来るし、慣れてきたり戦力が育ってきたら完全オートで放置プレイも可能な所も良い。さらにフレンドの隊員1、予備隊員2を設定する事が可能で、それら隊員と戦闘する隊員を入れ替えて敵編成に対応する事も可能で、ゲームとしての幅が大きく広がっているのも良い。
 また、ボスや手ごわい敵は範囲攻撃やスキルを駆使して攻撃してくるため「被害予測範囲からの退避」「スキル攻撃範囲からの退避」と言ったアクションを取る必要もあり、まさに骨太の戦闘を楽しめる。こうしてプレイヤーが関与出来るのは大きな楽しさの一つだろう。

 UIの良さが素晴らしい

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 特筆すべき点としてはUIなど操作性が非常に良いということ。秘書ボタンをスワイプさせて自分が使いたい機能・行きたい画面(出撃、ショップ、編成etc...)を一発で表示させる機能は特に素晴らしく、戦艦少女でも真似しろと言いたくなるほど直感的で関心したし、遠征機能においては自分で遠征時間を調節可能で、長時間ゲームを触れられない人や、逆にガッツリやっていたい人にも対応した「痒い所へ手が届く機能」も充実しているのが素晴らしい。
 戦闘画面のUIもよく出来ている。あらかじめ敵編成が大体わかるようになっており、どんな敵が来るか予想可能で編成を入れ替える余裕があり、戦闘のあるマスではどのようなアイテムやキャラクターがドロップするか完全明記されている点もいいし、途中にある前線基地のマスを押さえれば、そこから再度スタートして海域の攻略が可能という点もうれしい。レベリングに適したマスを続けて攻略可能という点もゲーム進行の効率的にかなり助かっている。
 ほかにもクエスト報酬などの一括入手機能など、艦これフォロワー作品が後発で取り入れた要素なども多くフィードバックされており、ストレスが溜まりにくいUIになっているのは間違いないだろう。

キャラゲーとしての境地、開拓なるか

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 もう一つのゲーム側面としてはキャラゲー要素の強化がある。今でこそセリフの追加や「宿舎」などの箱庭要素、ストーリーによる掘り下げなど、キャラクターゲームとしての部分を強めたゲームは沢山あるが、このゲームはその点に重点を入れている点が評価できる。
 特にセリフは膨大な量が実装されており、オーソドックスな会話から、天気・時間の言及、各機能に移動した際の何気ないセリフ、キャラクター同士によっては掛け合いも行うという点もあり、キャラクターの形成に対する熱意が非常に感じられているし、その部分を気に入る人にはたまらないだろう。戦艦少女から大幅にキャラクターが変更されている子もいるので、そのへんの差異を探すだけでも楽しいかもしれない。
 「蒼青のミラージュ」の世界観の中に納まったキャラのため、擬人化ゲーム要素が薄いと思う人もいるかもしれないが、それでも基本的な擬人化要素もキャラクターの中に上手く落とし込んでいる印象もある。
 また、ゲーム内ではキャラクターからメールが届くという機能も実装されており、現在はメインストーリー部分に関わる物しか送られていないが、そのうち色々なキャラクターからのメールもあるかもしれないので今後が益々期待できる。
 そして、この手のゲームとしてはキャラクターが常に手元に置かれるという点が大きい。よくある「ダブりキャラは解体or強化に」という事はなく、ダブって入手したキャラは自動的に強化素材に変換され、手元のキャラは入手してからずっと手元にいる。さらに言うとキャラクター保有枠なども存在しないので「枠を圧迫しているので捨てる」と言った選択肢が無く、単純な「駒」としてではなく「キャラ」として見えるような配慮がゲーム内にあるのも良い。艦船や兵器、ではなく「隊員」と呼称される点がそれを如実に表している。

 抱える難点

 ゲーム内での不満点や難点もない訳ではなく、例に挙げると色々とある。
 まず強化周り、強化する事自体は楽しいものの、強化に必要なアイテムが多岐にわたり管理や収集が初見にはまったく掴み辛いという点にある。キャラクターのスキルやステータス強化だけでもざっと44アイテムあり、どこからどう集めて使用するかを把握するのは初見時には難しく、また強化素材集め自体もかなり序盤はスローペースである。そういうゲームバランスなのかもしれないが。また、海域でのドロップも序盤は激渋で、キャラ自体ドロップしない(CBTの時はドロップしまくったのだが)というのも拍車をかけている。ガチャもリソースの溜まるスピードに反して排出率が渋い。
 一番のネックはスタミナ切れの激しさだろう。ゲームの出撃リソースである「Muon」は時間経過で回復されるが、ゲームが進むに従って消費量は増え、特にレベリングや掘り、強化素材集めをする場合は著しく消費し、高頻度でスタミナ切れになりゲームが遊べず、遠征を回すしかやる事が無くなるという点にある。課金やアイテム購入で増やしたり遠征で増やせることも出来るが、それも微々たる物で今ゲームにおける一番のネックになりつつある。
 また、ボイスは実装されているが極一部にとどまっており、多くはボイスが存在しない点もある。データを見る限りでは☆4以上はボイスを実装する予定が見られるが、☆3☆2などのキャラには搭載される予定は今のところ無さそうだ。後々実装されるのでは?と思う人もいるかもしれないが、元ゲーの戦艦少女自体も1年以上前にボイスを実装したっきりその後も追加される事なく現在に至っているので、追加の望みは現状薄いかもしれないというのが素直な意見である。ボイス無しでプレイしても問題ない人には関係ない話かもしれないが。まぁ日本支社が作ってるらしいのでそのへんのフットワークには期待したいが……
 改善して欲しい点はまだまだあるので、開発宛にメールで意見を積極的に出してもいいだろう。幸いにも、定型文の返事では無い返答をしてくれる会社なのでどしどしメールを送っておこう。

総評

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 戦艦少女のスピンオフゲーで、宣伝も少なくまだまだマイナーゲーの域を出ていない作品ではあるが、ゲームシステムやキャラゲー要素の強化など、面白くなる要素の多いゲームだけに今後の進展に期待したいゲームである。オススメ。