Paranoia Diary

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最近見たネット小説 短評②

今回も艦これ。

孤島の六駆 - ハーメルン

深海棲艦の支配海域に取り残された孤島。そこで生き延び、暮らしている第六駆逐隊の四姉妹。脱出も適わず、ただ助けを待ち続ける彼女たちだったが、記憶喪失の青年が島へ漂着した事が切欠で事態は一変し……という孤島脱出サバイバル&鎮守府再建ストーリー。

人間が全員死亡し、艦娘だけとなった孤島という舞台設定や艦これ世界に対する独特のアプローチなど、様々な独自解釈が光る作品。資源も物資も戦力も限られる中での脱出計画などハードな一面もあったり若干のコメディ要素や日常要素なども垣間見れる良作。第六駆逐隊が高校生くらいまで成長しているという設定も中々ユニーク。

 

私たちの話 - ハーメルン

完結済。

人類と深海棲艦との戦争が終結した世界。艦娘として戦い、戦後に作家となった空母・加賀が当時の戦いと戦友たちとの思い出を振り返る……という筋立ての艦これSS。

物語自体が「加賀が出版したノンフィクション」という体裁で進んでいくアプローチは、ゾンビ戦争を当事者のインタビュー形式で語った「ワールド・ウォーZ」と似ていて個人的には大好き。リアリティのある設定や、戦場の少女たちの姿を淡々と描いていく姿勢含めてかなりハードな路線の作品。

戦場というシビアな世界や、戦場という環境におかれた人たちがどのように変化したか・していったか、など実際の戦場における心理描写に関しても深く言及しているのも興味深い。艦これのフェイクドキュメンタリー(或いはモキュメンタリーか)としても艦これのSSとしても深くオススメしたい一本。

 

[完結]Home is the sailor, home from the sea. - ハーメルン

史上初となった男性の艦娘である“僕”の視点から描かれる深海棲艦との戦争を描くハード路線の艦これSS。前述の「私たちの話」と同作者の作品。

ハーメルンでもたまに見かける艦娘ならぬ艦息子(艦息とも)が主役となるSSだが、その内容はガッチガチのハード路線。深海棲艦との戦い、仲間との交流や、戦争の根幹に触れていく物語などが濃厚たっぷりに描かれている。オリキャラ艦息子が主役物ながら癖なくスッと作品にのめり込める作品は早々ない。

まだ途中までしか読んではいないものの、独特な地の文や文章力、さりげなく織り込まれたパロディ(那智教官のネタは「第9中隊」だろうか)なども楽しめる長編作品である。これからじっくりと読み進めていきたい。

 

水上の地平線 - ハーメルン

廃棄資材によって作られた一風変わった艦娘・龍驤ブルネイ鎮守府の愉快な仲間たちが織り成す、コミカルだったりシリアスだったりする日常を描く基本1話完結の短編作品集。

オカルト・超常現象的な解釈を含めた癖のある世界観と、シニカルでユーモアなキャラに仕上げられた軽空母・龍驤と、彼女の元に集まった曲者の艦娘たちが繰り広げるゆるーい話が続く作品。艦これという作品に対する独自の解釈が「艦これ以外の何か」に変化しない程度に広げられているのも面白い。

基本的に1話が短く、サクサクと読み進められるので話数に対してテンポが良く、シリアスやコメディの緩急もメリハリが利いている良作。

 

007/暁の水平線より愛をこめて - ハーメルン

とうとうこれが来やがったか、と思った007×艦隊これくしょんのクロスオーバー作品。どんなクロスオーバーだよ。俺得かよ。

船舶失踪事件、深海棲艦の出現、対抗戦力である艦娘の登場……目まぐるしく動く世界情勢の中、殺しのライセンスを持つ英国の一流スパイ、ジェームズ・ボンドが日本へ派遣される……という筋立て。

明確にはどの作品(俳優)の007なのかは明記されていないものの「007は二度死ぬ」あたりを見るとすんなり頭に入ってくる内容となっている、まさかの艦これ×スパイ×アクション作品。これからどのように話が展開していくのがが気になる作品。

 

艦娘とメシ - ハーメルン

公式ライトノベル「陽炎、抜錨します!」の世界観をベースにして描く艦娘×メシの短編作品集。同じ系譜のメシテロ作品「鎮守府の片隅で」と比較して、毎話ごとに主役となる艦娘が違い、ご当地グルメB級グルメなどが題材となる等が特徴。

グルメ作品特有の「文字だけでのグルメ表現」というハードルをちゃんとクリアしつつも、艦これキャラののほほんとした日常や合間の出撃というシリアスをうまく表現している秀作。やはりメシテロ作品だった。