Paranoia Diary

趣味の事とかTwitterで書けなかった事とか雑感とか日記とか

パスタの学園艦から来たシンデレラガール アンチョビ波乱万丈物語

 ガルパンでどのキャラが好きよ?と言われたら真っ先に直下さん*1を選ぶが、アンチョビも同じくらい好きだ。劇場版から入った人や、今頃になってTV版のマラソンを始めた諸氏なら「あのアンチョビな」という感じの反応だろうが、今からさかのぼる事本放送時、アンチョビが好き等と言おうものなら「あれを?www」という反応が返ってくるのがオチだった。

 彼女には不遇の時代があった、そして誰よりも、ガルパンの中で波乱万丈の歴史を刻んできたキャラでもあった。今日はアンチョビ姉さん、ドゥーチェの歩みについて語りたいと思う。

  時計の針を戻し、4年前の2012年。うわもうそんな昔なの……

 ガールズ&パンツァーのライバルチームは全てモチーフとなった国があった、イギリスの聖グロ、アメリカのサンダース、ソ連プラウダ、ドイツの黒森峰、そしてわれ等がドゥーチェの所属校、イタリアモチーフのアンツィオがあった。

 第7話「次はアンツィオ戦です!」が告知され予告が明らかになった時、ドゥーチェは現れた。緑のドリルツインテと可愛いリボン、軍服モチーフのカッコいい制服、ムチ、生意気そうな笑顔を携えたそれはまさに異質とも言える存在だった。放送前に視聴者は沸いた、だが、7話の次にはプラウダ戦がすぐ控えていたしモチーフが散々ネタにされるイタリアで、あらすじや先行カットを見た者達は、ある可能性が濃厚な事にすぐ気がついた。これは瞬殺だと。

f:id:coloneltaisa:20160212033819j:plain

 予感は的中した。アンツィオ戦は数秒で終了した。視聴者はどっと笑った、心無い者は「やっぱりヘタリアだなwww」「イタリアはダメだなwww」と。しかし、ある者はドゥーチェの姿に心を打たれると同時に憤りを感じていた、なぜこんな娘がモブ並みの扱いなのだ!?と。アンチョビ不遇の時代はここから始まった。

 まず二次創作では彼女は手当たり次第にネタにされた。薄い本ではオチ要員やボケ要員として扱われた。イラストでは殆どネタ扱いでまともなイラストは稀だった。ふたばのガルパンスレではおでん屋台の店主扱いにされ、更に尾語が「チョビ」というキャラまで付けられる始末だった。それはそれで愛されている証拠だとも言えるが、今から考えればあまりにも酷な仕打ちであったとも言えた。それでも、公式設定ではまほを除いて唯一本名が公開されているキャラとしての立ち位置が確立された。

 そして不遇の時代を抜け出す最初の転換期が訪れる。コミカライズだ。

ガールズ&パンツァー 2 (フラッパーコミックス)

ガールズ&パンツァー 2 (フラッパーコミックス)

 

  コミカライズ版ではサンダース戦が端折られた代わりに、アンツィオとの試合が盛り込まれるに至った。そこでようやく、アンチョビはまともな出番にありつく事になった。コミカライズでの奮闘や、ライバルとしてのキャラ像は今までの不遇からは想像もつかないほどの破格の待遇だった。ここにきてアンチョビのファンは数を伸ばしていく事になる。

 TV版放送終了後、OVAが告知されアンツィオが主役になったと聞いたドゥーチェのファン達は狂喜乱舞した。ついにアンチョビが、ドゥーチェが喋って動く!と。しかし、懸念は複数あった。果たして担当声優はどうなるのか、そしてアンツィオ戦はどうなるのかと。

 まず声優は引き続き本編で僅かなうめき声を担当した吉岡麻耶が演じる事となった。ライバル校には実績ある声優が今まで通例のため、どうなるのか……と不安を抱く人も多かったが、ドラマCDでアンチョビの声を聞いた人はすぐに安心した。見事に妙子との演じ分けをやってのけたし、素晴らしい熱演も後発の作品を見た人ならお分かりだろう。アンツィオというイタリア戦車の戦いにおいても、専門家などの助力や3Dモデルの実装など緻密な考証により完璧な土台が作りあがった。

 2014年。ついにOVAが公開された。発売前の劇場公開日、俺は電車に乗って川崎のチネチッタまで行った。そして、アンチョビはついに満を持して登場した。

f:id:coloneltaisa:20160212033850j:plain

 そこから先は言うまでもないだろう。今まで現れてきたライバル校のキャラたちの仲間入りを果たした挙句、OVAという特別な場で暴れ周り、そしてファンの心を鷲づかみにしたアンチョビはまさに不遇の時代、そして逆境を跳ね除けてキャラクターとしての大成功を掴み取ったのだった。

 OVAを契機にスピンオフ漫画でもその存在感を遺憾なく発揮し、更に公式絵でもどんどん取り上げられていったアンチョビの快進撃は止まらない。劇場版では地味ながらもしっかり活躍、終盤戦ではCV33という豆戦車という絶望的戦力ながらも物語に大きく貢献した。劇場版により映像作品はひとまず終わりを告げたが、アンチョビの躍進はまだまだ続いて欲しい、そう願わずにはいられないのだ。

*1:※黒森峰のモブ娘、履帯を破壊されたヤークトパンター車長