Paranoia Diary

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思い出のゲーム探訪 「メダル・オブ・オナー 史上最大の作戦」後編

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He's gonna take you back to the past...

  さて、本題のゲームプレイだが久々にPS2のコントローラーを握るとこれまたぎこちない。操作性は家庭用ゲーム機におけるコントローラー操作をほとんど踏襲しているが、ジャンプは殆ど地表15センチほどしか飛べてないかと言うくらいの低距離で特に意味もなく、あまり機能はしていない。近接武器はなく、R3ボタンで手持ちの武器で殴る事は出来るが手榴弾は殴れないしバズーカやパンツァーシュレックは動作がのろすぎて使える部類ではない。

 また、今現在のFPSに比べて滑らかさは殆ど無い。軽い箇所は軽いが重い箇所は重いという感じであり、フレーム数がガックリと下がる事も多い。しかしディスク直読みのPS2時代では仕方ない事だろう。

 テクスチャと3Dモデルは古さを感じるが、2000年代初期のFPSとしてはかなり綺麗な部類に入る作品である。モーションの細かさも良い。サウンドも中々良質であるがSEがアホみたいにうるさい場面もある。

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 さて、プレイをすると最初からノルマンディー上陸作戦の激しい戦闘に借り出されるわけだが、チュートリアルも無しにこの乱戦は今見ると相当キツい、当時は何をしていいか分からず焦ったっけ……

 どう見てもプライベートライアンであるが、アライドアサルトの時点でこのノルマンディー上陸戦の演出はスピルバーグ監督から公認されているためそっくりであるのは納得の出来である。往年の戦争映画からのオマージュを持ち出すという流れはここからスタートしたと言っても過言ではないだろう。

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 その次の作戦ではプライベートライアンのクライマックスであるラメルの橋攻防戦と思しき一幕も楽しめる。出番はほんの一瞬に等しいが101空挺師団との共闘もある。他にもマーケットガーデン作戦を描く「遠すぎた橋」のオマージュたる作戦、ズバリ“遠すぎた橋”もある。ここらへんの映画とのリンク具合がさらにミリオタなガキのハートを鷲掴みにしたのであった。

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 しかしながら近作は基本的にランボーゲー、すなわち撃ちまくりゲーであり、友軍兵士は単なるオブジェクトであり、スクリプトや演出に必要な要員であり、背景である。単身で突撃しナチスを蹴散らすヒーロー映画そのままの内容になっているのだが、当時の技術的問題による表現の限界や友軍AIの性能を考えればこれはむしろ仕方ない話だろう。こうしたランボーゲーに嫌気が差したスタッフがCoDを作ったのは有名な話だ。

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 ストーリーも存在するが、あくまでゲームを盛り上げる為の味付け程度であり、極めてストーリー性は薄い。架空のドイツ軍将校が率いるドイツ空軍の試作機開発プロジェクトを阻止するという話が、史実の作戦に絡められているにすぎない。ラスボスも取ってつけたようなもので、近年のやたらドラマティックなFPSのストーリーに慣れていると病院食並みの薄味に感じる事請け合いだろう。だが、基本は撃ちあいゲームである。ストーリーは二の次でいい、という姿勢がこれこそゲームであると主張している。

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 これこそが飾り気の無いFPSである、と言わんばかりの内容である潔いゲームだし、面白くもあるがやはりPS2時代の容量では問題があるのか、FPS慣れをしている人や勘のいいプレイヤーは初見でも半日あれば余裕で全クリできるという致命的なボリュームの無さも今見るとキツい。いや、むしろ今もこれぐらいの尺かな。

 だが、ここには今のFPSが失ったスピリットがある。楽しく撃ちあいをさせ、演出を見せたいために強制的に操作を奪われる事もなければクソうるさいガキどもが跋扈するマルチプレイヤーもない。純粋なFPSがここにあるのだ。その思い出に浸りながら、我々はメダル・オブ・オナーが帰ってくる事を願わずにはいられないのである。